No.156
フラノという素材について
フラノは、秋冬用のスーツ生地として十分な保温性を備えています。縮絨によって繊維の隙間が詰まり、冷気を通しにくい構造になっているため、寒い季節でも安定した着用感が得られます。
ただ、この素材の価値は暖かさだけではありません。厚みと密度があることで、冬の着用環境でも状態が崩れにくく、シワが戻りやすい、形が安定しやすいといった特性があります。その結果、一日を通して装いの印象が変わりにくくなります。
一方で、着心地は数値やサイズだけで決まるものではありません。生地に量感がある分、着る人の感覚が着心地に反映されやすく、同じ方でもオールシーズンの生地と比べると感じ方が変わることがあります。そのため、合う・合わないが比較的はっきり分かれます。
この素材は、冬にスーツを着る頻度が高く、一日を通して印象を安定させたい方、軽さよりも形の持続性を重視したい方にとって合理的な選択肢です。一方で、軽さを最優先したい方や、移動・出張が多い場合、長い季節で着回したい場合には、別の生地が適することもあります。
一目で良さが伝わる素材ではありませんが、冬の使用環境で「暖かさ・形状・印象の安定」を重視する方にとっては、非常に実用的な生地です。私たちは用途に合った選択として、これをご提案しています。

