人はなぜカシミヤに魅せられるのか
― 静けさを纏うという贅沢 ―
寒さが深まる季節、手に取るだけで心が落ち着く生地があります。
それが、カシミヤ。
その柔らかさは、単なる高級素材としての価値を超えています。
人がカシミヤに惹かれる理由は、“心の奥に触れる静けさ”にあります。
カシミヤの繊維は、髪の毛の約五分の一ほどの細さ。
この繊細な構造が、肌に触れた瞬間に「刺激」ではなく「受容」として伝わります。
私たちの皮膚には、やさしく撫でるような感覚を心地よく感じ取る“C触覚線維”という神経が存在します。
カシミヤが放つぬくもりは、この神経を穏やかに刺激し、安心や信頼を司る感情を呼び起こす――
つまり、幼いころの「ぬくもりの記憶」を思い出させるのです。
ツイードやメルトンが“外界から身を守る”素材であるのに対し、
カシミヤは“内側から包み込む”素材。
その違いが、着る人の心の在り方にまで影響します。
光を反射するウールとは異なり、カシミヤは光を吸い込み、柔らかく沈めます。
その質感が生むのは「静の佇まい」。
主張しない存在感こそ、成熟した装いの証です。
ドーメルのカシミヤ ― 光を吸う生地
CAMPANELLAでは、フランスの名門ドーメルが手掛けるカシミヤコレクションを取り扱っています。
ドーメルのカシミヤは、表面の起毛が極めて繊細で、光を滑らかに吸収し、
手に取ると空気ごと指先に馴染むような感覚を与えます。
仕立て上がりは、肩のラインが自然に落ち、佇まいそのものに深みと静けさが宿ります。
冬の装いをお考えの方は、
どうぞ店頭でカシミヤの手触りをお確かめください。
触れることでしかわからない、静かな温もりがあります。

